May 05, 2010
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[北京 27日 ロイター] 深刻な電力不足に陥っている中国は、電力需要がピークに達する夏場の停電を受け入れるか、もしくは、インフレを容認するかというという難しい選択に迫られている。
中国の電力不足は、発電会社が需要を満たすだけの発電能力を備えていないためではない。製造業が安い電力の恩恵を受けられるよう、発電会社の送電会社への電力卸売り価格を政府がコントロールしているという、電力業界の構造問題が原因だ。
石炭価格が上昇するなか、卸売価格がコントロールされている発電会社は収支を合わせるため発電量を制限しており、その結果、中国は過去7年で最悪の電力不足に陥っている。さらに、干ばつにより水力発電に影響が出ており、電力需要がピークに達する夏場にさらに深刻な電力不足が予想されている。
クレディ・スイスのエコノミストDong Tao氏は「かなりの電力不足になるだろう。発電会社の赤字が膨らんでいるという状況下で、事態はさらに悪化している」と指摘する。そのうえで「経済成長にとっては厄介な問題で、インフレ圧力の上昇にもつながる」との見方を示した。
唯一の解決策は、政府が価格を引き上げることで発電会社に発電量を増やすインセンティブを与え、その後インフレ回避に向け金融引き締めを行うことだ。
<問題の根源>
今のところ政府は、電力消費の大きい業界への供給制限やディーゼル油の輸出禁止、天然ガス輸入の拡大、電力不足が深刻な地域における送電網建設で電力不足に対応している。また、上海市はデパートの派手なネオン照明を辞めることを検討している。
最終的に政府は、発電と電力消費を最適化するスマートグリッドにより、電力供給の管理や価格決定の効率化を目指している。今後、環境にやさしい発電方法にシフトさせるほか、石炭発電による電力は輸送上のボトルネックを回避するため、超高電圧網で送電されるようになる。
ただ、こうした計画はひとつとして根本的な解決にはならない、とエコノミストは指摘する。問題は、電力価格が単に安すぎるという点にある。
中国にとり電力不足は毎年のことで、何も新しい問題ではない。ただ、今回は需要に供給が追い付かなかった2004年の電力危機とは異なる。つまり、十分な発電能力はあるが、電力不足を解消しようとする意志に欠けているということだ。
Guotai Junan証券のアナリスト、ワン・ジン氏は「発電会社は、卸売価格の引き上げなどインセンティブさえ与えられれば、発電量を増やすことが可能だ」と語った。
クレディ・スイスのDong Tao氏は「実際、発電会社は発電を望んでいない。電力不足は製造業にとりマイナスだが、発電会社にとっては悪いことではない。料金の引き上げに向けた調整は正当化される」との見方を示した。
<電力料金の引き上げ>
中国では半分以上の発電会社は赤字に陥っており、電力会社はこれを価格引き上げ交渉の切り札として使える。
一部の省は送電会社への卸売価格引き上げを進めているとの報道もあるが、卸売価格引き上げだけでは十分とは言えないだろう。
石炭会社にとってはプラスとなるが、政府がここ数年取り組んでいる小規模鉱山を閉鎖させるという政策に水を差す可能性がある。
シティグループは、消費者が支払う電力料金は据え置き、送電会社への卸売価格のみを政府は引き上げるべきと指摘する。それにより消費者への価格転嫁は回避され、消費者物価指数(CPI)が上昇することもない。値上げに伴うコストは、送電会社と政府が負担する。
一方、多くのアナリストは、将来の電力業界の自由化を踏まえれば、消費者が支払う電力料金も引き上げられる必要がある、とみている。ただ、消費者の支払う料金引き上げはインフレを意味する。5%を上回るインフレを抑制することは、政府の今年の最優先課題だ。
みずほの首席エコノミスト、Jianguang Shen氏は「インフレ圧力が下半期に和らぐまで、政府は電力価格の引き上げを見合わせるだろう。そうすることで、インフレ率の一段の上昇を回避することができる」と述べた。
「ただ、そうすることで下半期のインフレ鈍化が遅れ、金融引き締めは当初予想されていたよりも長引くかもしれない。簡単な解決策はなく、インフレ上昇と生産削減の間のジレンマに直面する」との見方を示した。
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